飲茶のくにのブー

幸せってなんだを考えすぎずに考える雑記ブログ

【香港デモ ①】香港のデモで思うこと。

電車が動いてるかどうかから始まる

朝、起きてすぐに「今日電車動いてるかな」と朝のニュースを観るのがもう常だ。「荃灣綫がダメみたいよ」月曜日はチム(会社もより駅)が閉鎖で、旦那も手前の駅から、他のスーツ姿の会社員と列をなし、ゾロゾロと職場に向かったんだそう。きっとみんな下向いて、重い足取りで黙々と…なんだか想像がつく。


2019.11.19 朝8時のネイザン・ロード


更に「今日はどこ?(で、デモ活動あるの)」と夫婦で確認し合うのも日課だ。昔は「香港人日程表」なるものがWhatsappなどで出回っていて、時に週末に、どこでどんな活動をするかが分かるようになっていた。デモ参加者はもちろん、デモに出くわしたく無い人は事前にチェックでき重宝した。しかし、最近の活動は予定は未定・神出鬼没。どこでばったり出くわすかわからないので、うかつに外出はできない。週末どうしても出かけなければならない場合、用事は午前中に済ませ、速やかに帰宅。なぜなら夕方から深夜に向けて活動がヒートアップするからだ。

あなどってた催涙弾の影響

週末だけだったデモ活動も、今月あたりから平日も行われるようになり、セントラルやチムやコーズウェイベイなど中心部だけだったものが、今やもうありとあらゆるところでやるようになった。静かに行進したり、ショッピングモールで歌うだけなら良かったが、エスカレートしたグループは、器物破損、道路封鎖。火炎瓶を投げるように。
電車は止まるわ、駅は燃えるわ、改札は壊されるわ、発券機は割られるわ、レストランは木っ端微塵。モンコックの交差点の信号機もだらんと線が垂れ、ずっと壊れたまま…デモ隊のやることがどんどんすさまじくなっていく。それに比例して警察の制裁も度を超えていく。人間ってここまでやれちゃうんだ。


ついに11/11(月)〜19(火)、全ての小中学校が休校になった。11日の朝に「スクールバスに乗らないでください」と連絡が入った。学校までの道が塞がってしまったのだ。子どもが安心して教育を受けられないような状況なんだなぁ…と、改めて思った。

日本人小学校は催涙弾がたくさん打ち込まれた香港中文大学のすぐ隣だ。有害なダイオキシンの影響で近くに生息していたリスやスズメの死骸が見つかったと話に聞いた。また最近子どもに増えている原因不明の湿疹も、催涙弾の影響と言われている。被害者は常に罪のない弱者だ。(催涙弾の人体への影響について、何か情報があれば是非教えてください)

なんの意味もなさないかもしれないが、とりあえずマスクを着用して、今日から子ども達は学校に行った。(マスク禁止法なんてナンセンスにもほどがある)送り出す親はみんな不安でいっばいだ。保護者は今週、来週とボランティアでスクールバスに添乗することになった。

タクシー運転手のつぶやき

長い休み中は、朝から晩までサイレンが聞こえてくる中で、子ども達は少し音量をあげて、黙ってアニメを観ていた。

うっかりチャンネルを香港の番組にしてしまうと、燃え盛る炎に包まれる人の姿、至近距離からデモ隊に発砲する警察、電車を妨害され怒り狂う乗客、棍棒で殴られるデモ隊、ゴツゴツ音を立てて殴られて血を流す人、線路に積まれた瓦礫、伝線にぶら下がる自転車、催涙弾で真っ白の煙に包まれ逃げまどう人…外で起きている現実がいやおうなしに刺さってくる。子どもにはかなり毒だ。知らぬ間にストレスを抱えているかもしれない。


実はこんな時に、私は先週ヨガのティーチャーズトレーニングで東京の実家に帰っていた。子どもを残して後ろ髪を引かれる思いだったが、既に申し込みをしていて、いたしかたなかった。日本ではニュースで「桜を見る会」の話題の合間に、戦場になった香港が映し出され、全く変な気分だった。桜を見る会か…日本はなんて幸せな国なんだろう。


「どうしちゃったんだよなぁ。俺たちの香港は。狂ってるよ。香港人同士でなぜ殴り合う必要があるんだ。次の世代がいちばん可哀想だよ。これから香港は中国の一都市にすぎない場所になる。香港が無くなるんだ。昔の、のんびり、あっけらかんとした、食べ物が美味しくて、海も山もたくさんあって、笑いがあった香港が無くなるんだ。俺は爺さんになったら台湾へ逃げるよ。こんなところにはもう住めない。こんな香港に未練もない。」


香港の空港から自宅に帰ってくる時にタクシーのおじさんが、私が家に着くまでずっと喋ってた。
おじさんの言う「次の世代」の子どもたちは、この先一体どんな香港に住むことになるんだろう。

負の連鎖を断ち切る勇気を

憎悪は憎悪しか生まない。暴力は暴力しか生まない。勇気を出して、今の負の連鎖を断ち切らなければ次のステージにいけないと思う。

デモ隊も、警察も、一般市民も、政治家も、とりあえず肩書きは置いといて。香港人同士しっかり繋がって、お互い尊重し合いながら対話を重ねて、香港に住む皆にとって1番良い方向に、平和な方向に…一緒に向かっていけたらいいのに。

香港の人達が、自分の心を、体を、また他人を、街を、物を、自然を…これ以上傷つけずに、事態が早くおさまりますように。そして、大好きな香港の人達にまた笑顔が戻ってきますように。


またいつか「シュンナ〜(もういいよ)モウマンタイラ〜!(大丈夫!)」ってみんなが笑って言えたなら。